クレジットカードの利用明細を手に、いつの日付で記帳すればいいか迷いながら会計ソフトに向かうひとり経理の担当者

クレジットカード払いの記帳|計上タイミングと未払金の処理

「この備品、先月カードで買ったけど……記帳するのは買った日?それとも口座から引き落とされる来月?」 カードの利用明細を前に、入力の手が止まる。お金が実際に動くのは引落日なのに、領収書の日付は買った日。どっちに合わせればいいのか分からなくなる——ひとりで経理を回していると、この迷いは本当に身近ですよね。

でも、ここで迷うのは、あなたの知識が足りないからではありません。クレジットカードは「使った日」と「お金が出ていく日」がずれるから、現金払いと同じ感覚だと混乱して当然なのです。しかも、そのずれをつなぐために「未払金」という見慣れない科目が出てくる。だからこそ、慎重になるのは正しい感覚です。

この記事では、「いつの日付で計上するのか」「未払金で何をしているのか」「引き落としのときはどう消すのか」を、仕訳例と早見表でひととおり整理します。今日は全部を暗記しなくて大丈夫。まずは「カードの取引を見たら、どう記帳すればいいか」という地図を一緒に作っていきましょう。

結論:クレジットカードで経費を払ったときは、原則として次の2段階で記帳します。①カードを使った日(利用日)に、費用と「未払金」を計上する(例:消耗品費 / 未払金)。②口座から引き落とされた日に、未払金を預金で消す(例:未払金 / 普通預金)。こうすると「使った月の経費」が正しくその月に乗ります。なお、継続的に役務を受ける契約(家賃やサブスクなど)の未払い分は「未払費用」を使う場面もあり、また個人事業で簡易な経理をしている場合は引落日にまとめて処理することもあります。自社の経理方式に迷うときは顧問税理士に確認すると安心です。

なぜ「使った日」で記帳するのか

最初に、考え方の根っこだけ押さえておきましょう。ここが分かると、細かい仕訳が頭に入りやすくなります。

会計には、「お金が動いた日ではなく、取引が起きた日で記録する」という考え方があります(発生主義)。カードで備品を買った瞬間に、その備品は手元に来て、会社は「あとで払う義務(債務)」を負います。お金はまだ出ていなくても、取引そのものはもう成立しているわけです。

だから記帳も、お金が引き落とされる来月を待つのではなく、買った月に「費用が発生した」と記録するのが基本です。そうしないと、6月に使った経費が7月の経費になってしまい、月ごとの数字がずれてしまいます。

とはいえ、買った日にはまだ現金も預金も減っていません。そこで登場するのが「未払金」です。「費用は発生したけれど、支払いはこれから」という状態を、いったん未払金という箱に入れておく——そのための科目だと考えると、腑に落ちやすくなります。

カード払いの記帳は「2回」に分けて考える

実際の記帳は、ひとつの買い物につき利用日引落日の2回に分けて考えると、すっきりします。これが基本の型です。

カード利用日に費用と未払金を計上し、引落日に未払金を預金で消すまでの流れを左から右へ示した図
利用日に「費用/未払金」で起こし、引落日に「未払金/預金」で消す。2回で1セット

1回目:利用日(カードを使った日)

カードを使ったその日に、費用を計上し、相手科目に未払金を立てます。お金はまだ動いていませんが、「あとで払う義務」が生まれたことを記録します。

(借方)消耗品費 30,000 / (貸方)未払金 30,000
摘要:○○事務機 プリンター用品 △△カード

2回目:引落日(口座から落ちた日)

後日、カード会社が指定の口座から代金を引き落とします。このとき、利用日に立てた未払金を、預金で消します

(借方)未払金 30,000 / (貸方)普通預金 30,000
摘要:△△カード 6月利用分 引き落とし

この2回で、ひとつの買い物の記帳が完了します。利用日の仕訳で「いつ使ったか(費用)」が、引落日の仕訳で「いつ払ったか(お金の動き)」が、それぞれ正しい日付で残るわけです。

「未払金」と「未払費用」はどう違う?

カード払いで使うのは、基本的に未払金です。ただ、似た名前の「未払費用」と迷うことがあるので、ここだけ整理しておきましょう。

ざっくり言うと、「買って終わったもの」は未払金、「使い続けている契約の途中分」は未払費用というイメージです。カードの利用明細に並ぶ多くの経費(備品、消耗品、スポット的なサービス)は未払金で問題ないことがほとんどです。サブスクや継続契約を決算でどう区切るか迷うときは、印をつけて顧問税理士に確認しましょう。

よくある場面の早見表

言葉だけだと分かりにくいので、ひとり経理がよく出会う場面を当てはめてみます(一般的な目安です。自社の科目体系・経理方式に合わせてください)。

場面利用日の仕訳(借方)相手科目ひとことメモ
カードで消耗品を購入消耗品費未払金領収書も保存する
カードで広告費を支払い広告宣伝費未払金利用日で費用計上
カードのサブスク(毎月課金)通信費・支払手数料など未払金毎月の利用日で計上
引き落とし(口座から)未払金普通預金立てた未払金を消す
年会費諸会費・支払手数料など未払金科目は自社方針で統一
事業用カードで私的な買い物事業主貸(個人事業)未払金経費にしない/要区分

同じ「カードの取引」でも、利用日は費用+未払金、引落日は未払金を消すという骨組みは共通です。明細を見たら、まず利用日と引落日のどちらの行かを意識する——この習慣がつくと、入力が迷わなくなります。

事業用と個人用が混ざるときの注意

ひとり経理でつまずきやすいのが、カードの「事業用」と「個人用」の混在です。ここは少し丁寧に見ておきましょう。

理想は事業用カードと個人用カードを分けておくことです。分かれていれば、明細をほぼそのまま記帳に使えて、月末の手間がぐっと減ります。今すぐ分けられなくても、「この明細のどれが事業用か」に印をつけるだけで、あとの自分がとても楽になります。

明細だけでなく「領収書」も残す(電帳法のひとこと)

カード払いでうっかり抜けやすいのが、領収書・購入時の請求書の保存です。カードの利用明細は「支払いの記録」ではありますが、「何を買ったか」を示す証憑としては、利用先が発行する領収書・納品書のほうが基本になります。

とくに、ネットでカード決済してメールやサイトで領収書を受け取った場合、それは電子帳簿保存法でいう「電子取引」のデータにあたり、原則そのデータのまま保存しておく必要があります。紙に印刷して満足せず、元のデータも残しておきましょう。詳しい進め方は、電子帳簿保存法「電子取引」のデータ保存の基本対応もあわせて見てみてください。

カード払いの記帳で迷ったときのチェックリスト

全部を毎回そろえる必要はありません。まずは最低ラインだけ。残りは「できれば」「できないときはこうする」で十分回ります。

これだけは(最低ライン)

この2つさえできていれば、月ごとの数字は大きくは崩れません。

できれば(迷ったら印をつけて後回しでOK)

→ その場で判断できなければ、行に印をつけて次の税理士とのやりとりで聞けば大丈夫です。決算前にまとめて見直しても間に合います。

証憑(できる範囲で。すぐ無理なら明細を仮置き)

→ 領収書がすぐ手元にないときは、いったんカード明細を仮の根拠にして記帳を進め、領収書は後から差し替えても構いません。電子取引のデータ保存が難しい事情があるときは、税務署に相談すれば猶予が認められる場合もあります。

明日やること(まず1つだけ)

全部のルールを一度に覚えようとすると、それだけで気が遠くなります。 明日やることは、「直近のカード明細を1行だけ取り出して、利用日で『費用/未払金』の仕訳を1本起こしてみる」だけで十分です。

その1本が起こせれば、引落日に未払金を消す流れも自然に見えてきます。もし「これは未払金でいいのかな」と迷う行があったら、印をつけて、次の税理士とのやりとりのときに聞いてみる。それだけで、決算前にまとめて確認する作業がひとつ減ります。小さな一歩ですが、確実に未来の自分を助けます。

最後に

クレジットカードの記帳は、利用日と引落日のずれを頭の中で行き来しながら「これで合っているのかな」と何度も確かめる、地味で気をつかう作業です。お金の動きと取引の発生を別々に追いかけながら、未払金という見えにくい箱まで管理しているのは、決して簡単なことではありません。

カード明細の記帳を終え、利用日と引落日の処理を迷わず進められて落ち着いた表情のひとり経理の担当者
利用日と引落日を分けて考えられれば、カード払いの記帳はもう止まらない

でも、これは「正解を一発で当てる試験」ではありません。明細を見て、利用日と引落日を分けて、未払金で橋を架ける。その流れを身につければ、もう手は止まりません。 今日、カード払いの地図がひとつ頭に入ったなら、それはもう「固まる作業」が「進められる作業」に変わり始めた証拠です。完璧でなくて大丈夫。今日できたところまでで、十分前に進んでいます。

本記事は一般的な実務情報です。計上のタイミングや科目の取扱い、未払金・未払費用の使い分けは、会社の経理方式や個別の事情、最新の通達によって異なり、改正されることもあります。最終的な判断は、国税庁の情報や、顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。

科目そのものの選び方で迷うときは、勘定科目の選び方|迷ったときの判断軸と科目一覧も、ほかの記帳・仕訳の手順とあわせて記事一覧から少しずつ一緒に整理していきましょう。

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